本誌では語りきれない、だたら八つ マニアックWEB版
あばたもヒスイ
田中 げんごろう
−新潟県糸魚川市・ひすい海岸で拾った石の話題−
これはヒスイ?? という怪しい石ころたちを語ります
このページは拾ったヒスイの「戦果」を紹介するものではありません。
また、石ころ初心者が「悪戦苦闘」している内容ですので、
学術的参考度が低いものです。
2024年11月15日
2024年9月29日
糸魚川で拾える石には「緑色」のものが多く、それぞれの正体を知りたいと思うわけだが、これが難しい。
緑色の石の代表、ネフライトや、変はんれい岩、緑色片岩などについては、
この玄武岩の変質化の過程で「アクチノ閃石」≒「緑閃石」≒「透緑閃石」≒「ネフライト」や
2024年9月29日
まず「片岩」は、細粒から粗粒(肉眼で鉱物粒が識別できる)の片状構造の変成岩を言う。(劈開とは言わない)
貝殻状に割れる、
「片岩」は「原岩」や「鉱物」の名に組み合わされる。
「結晶片岩」は「変成鉱物が平行配列しながら再結晶し片状構造を形成したもの」を言い、以下のものがある。
さらにこれらの原岩は「広域変成度合い」によった名が与えられている。(ホルンフェンスは変成要因が別)
玄武岩とはんれい岩起源には
2024年9月20日
2024年9月13日
しかし、その理解という解明が鉱物学界では「未判明」「論争中」「不明瞭」のもが多く、学者でさえ的の中心を射る名手ではない。このボヤッとしたの「的」の範囲が、学者は一般人よりも(はるかに)精度良く見えているにすぎない。
特に広域変成岩は「地球という化学実験場」を相手にしているので、その混合複雑グラテーション性は「無限」と言いたいほどだ。ヒスイ輝石だって、どのように出来たのかは、ほぼ確信に達しているようだが、確定していない。
<ヒスイ輝石ができるまで>
↓●まずは岩石の根源から出発したい。
地球の内部構造には中心から「マントル」→「プレート」→「地殻」がある。
↓●マグマの生成作用
マグマとは地殻やマントルが溶かされたもの。
主に海洋領域で、マントルのかんらん岩を溶かしたマグマが固まったものが「玄武岩」。性質はSiO2成分が少なく、鉄、マクネシウムに富んだ、苦鉄質岩といわれる有色系の岩石となる。
↓●広域変成作用
海洋プレート層には地上からもたらされた砂泥、海底火山でできた玄武岩、そして地殻に巻き込まれたかんらん岩が堆積している。これらの岩石(原岩)が、プレートの移動と共に、地下に引き込まれると、その圧力や熱、海水で原岩が化学反応を起こし、違う岩石に変化する。これが「広域変成岩」だ。
広域変成作用はプレートの沈み込みで起こるので、変成の度合いは基本的に沈み込みの度合いに圧力と温度が比例していると思われる。要するに沈み込みが浅い時には低温低圧(変成度が低い)、深くなるほど高温高圧(変成度が高い)になる。
↓●蛇紋岩化作用 1
かんらん岩はプレートと一緒に地下にひき込まれた海水(水)と反応して「蛇紋岩」に生まれ変わる。
これを「蛇紋岩化作用」という。
糸魚川の海岸でよく拾う典型的な蛇紋岩で、薄緑色に黒い斑点があるものは、比重が2.6程度で、磁石はこの黒い斑点(磁鉄鉱)に付き、薄緑のところには付かない。
↓●蛇紋岩化作用 2
この「蛇紋岩化作用 1」により、還元的な高アルカリ性の「流体が発生」し、この流体により、かんらん岩中の 単斜輝石(透輝石)が蛇紋岩化し、単斜輝石(透輝石)の「Ca分を放出」する、「と考えられている」。
↓●ロジン岩化作用 1
この蛇紋岩化作用 2によって発生した還元的、高アルカリ性でCaに富む流体が、 はんれい岩や玄武岩と反応することで生成した変質岩をロジン岩という。これを「ロジン岩化作用」という。
↓●ロジン岩化作用 2(ひすい輝石・曹長岩の生成)
ロジン岩化作用 1によって、還元的、高アルカリ性でNaやTiに富む流体が放出される。
● まとめ
ようするに、ひすい輝石はマントルのかんらん岩が「玄武岩」となり→「緑色片岩(広域変成作用)」→
「蛇紋岩化作用1.2」→「ロジン岩化作用1.2」→ヒスイ輝石という一連の作用がもたらした地球という「化学実験場」で出来た副産物といえる。
透緑閃石(ネフライト)やオンファス輝石などの鉱物は、この一連の過程で同時に生成され、ヒスイ輝石や蛇紋岩などと接したり、
同時に生成されることにより、新たな鉱物が生成されたり、さまざまな組み合わせの「岩石」となる。
私たちが糸魚川の海岸で拾う「ヒスイ」と思われる、または「きつね石」と言われる「ひすいもどき」の広域変成岩は、このような流れの中に生成された岩石で、生成過程の環境、鉱物同士が出会い反応する割合はグラテーションで無限に近いので、その様相はさまざまとなるわけだ
2024年8月8日
日本語は文字では漢字、ひらがな、カタカナ、その表現も、和製、和製英語、ギャル語、などなとが使われている、
世界屈指の複雑さを持つ言語だ。
例えば、「緑色片岩」に関する言葉として、「マフイック岩、苦鉄質岩、塩基性岩、結晶片岩、緑色岩、緑泥石、緑簾石、緑閃石、アクチノ閃石、透閃石、長石」などがある。
ということで「蜘蛛の糸」を掴むべく芥川になり、まとめてみた。
●蜘蛛の糸 1 「漢字表記」
アメリカを「米国」、イギリスを「英国」、カナダを「加国」と漢字表記するように
苦=マグネシウム(Mg)
だから
●蜘蛛の糸 2 「英カタカナ読み和表記」
苦鉄質岩(mafic rock)= マフィック岩
それに対する用語として
そして
ここで、「蜘蛛の糸1」と「蜘蛛の糸2」の合わせ技で言うと
このように、岩石名や鉱物名をそのままカタカナ漢字まぜにする「ゴチャまぜ表記」が実態だ。
これは専門家たちだけの「ギャル語=業界用語」と変わらないことがわかるだろう。
●蜘蛛の糸 3 「長石・角閃石・輝石」
珪酸塩鉱物のグループ名として以下がある。
長石・角閃石・輝石、それぞれのグループの生成の特徴は、温度、圧力、原岩のシリカ(SiO2)の多少などによる。
角閃石と輝石の違いは、劈開の交わる角度。
用語(持病)に対しての注意点
●蜘蛛の糸 4 「塩基性(アルカリ性)」「酸性」
「鉱物のもつ電荷」から見た表現。
(用語)
(用語)
ここで注意する点は、
要するに
●まとめ
苦鉄質岩=マフィック岩≒塩基性岩≒輝石・閃石が多い≒有色傾向の岩
2024年8月4日
学術用語と一般用語
私などの石ころ地学駆け出し人は、膨大な「地学」という学問の横から入っていくので、「あいまい」なまま、用語を使ってしまう。
「ロディン岩、曹長岩、緑色岩、輝石、角閃石・・等々、本当に意味がわかって使っているの?」と言われれば、頭が上がらない。ということで、しっかり理解できていない用語を使うのは「すっきりしない」し、対外的にも良くないことなので、勉強を始めた。
そんなおり「すばらしい動画」を見つけた。感謝感激だ。
そこでまずは、「石と岩」の命名の定義から。
例外的に「大理石」は鉱物名ではない。本来は「変成石灰岩」などと言われるべき「岩」。
ここでヒスイという言葉の定義だか、以下のようになっている。
ヒスイ=宝石名
これをごちゃまぜにしてはいけない。
ここまでは良いが、最近このブログでも書いてしまったように「緑色岩」のようなオンファス輝石岩が「岩」名も付けられずに出回っている。
追記
2024年6月28日
ひすい海岸はうって変わってべた凪の海。
今回、ハンターの面白い姿を見た。
このごろ「クリソプレーズ」という言葉をよく耳にするようになった。
左の石はいわゆるキツネ石と言われるもので、やや透明感のあるまだら薄緑細粒結晶で出来ている。
比重が2.72だから、ロディン岩ではなく、石英系と思われる。
ネット界隈では濃い緑色の石英も「クリソプレーズ」と言っているので、緑系のきれいな石英はみなそう呼ぶのだろう。
まったくもって「翡翠坊主」の一日。「ナンマイダァー・チーン♪」
画像の石の正体がわからない。
2024年3月6日
能登半島地震後、自己自粛を明け、気になっていた海岸の様子を見がてら「石ころたちとの出会い」を求め、行ってきた。
あいかわらず、ひすいとの出会いは簡単ではありませんでした。
2024年3月2日
青海の海岸で2月24日にヒスイハンターが崖から転落して亡くなった。
今は、津波のリスクがあるからなおさらです。
以下は時系列記事↓ 下に行くほど新しい記事です。
2023年8月20日
今年の糸魚川の夏は異常だ。まさしく酷暑。
とにかくここは、NHKの「ドキュメント72時間」が放送されてから、人気沸騰している現場だよ。
拾い上げてみると、
ヒスイ鑑定の温度差・ひすい輝石岩
「怪しい石たち」はいつもマニアの世界でありがちな、判断基準の温度差の中にある。
FMM(フォッサマグナミュージアム)で鑑定してもらうと。鑑定は「ヒスイ輝石岩」。説明に「ヒスイ輝石が混ざっている岩石」となっている。
きれいでなくても、その石にヒスイ輝石が含まれ、混在する割合からそう鑑定できるのだから「学術的に正論」。
この温度差は、「ひすい」が「宝石名」「岩名」「鉱物名」が区別されず、ごちゃまぜも一因していると思う。
FMMは全国的に見ても稀な、市民と観光をリンクした優秀な博物館だと思います。
これ、石英斑岩かいな?
「ヒスイなんてどこにもないぜっ!」とばかり
よく「比重を測れ!」というけれど、実際計ってみたら、明らかに「ひすい輝石岩」であるのに、2.9とから3.0くらいのものある。
比重を計ると、ロディン岩と思われる石はしっかり3.1以上が多い。
WEBページで同じような岩石を見つけた↓
真っ黒で碁石のような「怪しい石」がある。
ヒスイは硬くて「角ばっている」という特徴があるけれど、角ばっていてもその先端はけっこうまるまっていねよるよ。
オンファス輝石が多く含まれる?ヒスイ輝石岩、と思われる石は同じような割れ方をするものが多い。
蛇紋岩は磁石にくっつき、比重が低く2.6程度といわれる。
追記
ヒスイが拾えないから、テキトーに怪しい石を拾っていると。やけに重く感じる石があった。
10月28日(土) やっぱりヒスイ枯れ状態。
ガソリン高の中、値下がり隙間期間になったので「怪しい石ころたち」を拾いに行ってきた。
最近、人気の「ある海岸」は、凄いことになっていて、朝一のまだ暗い時間なのに、複数のハンターがすでに浜辺で待機している状態。この海岸は最近工事が終わり、じゃり浜が長くなって、狭かったフィールドが広くなったので混雑緩和になるかも知れない。だけど他人と競い合いになるフィールドはなんかいやですね。
ハンターを観察していると、最近「定点観察型」が目立つようになった。特に女性。
こんな状況でも、また行きたくなるのが糸魚川。次は冬場? 昨年の冬は海が荒れすぎて逆に砂浜となってしまい散々だった。それでも豪雪地帯を走り抜けてまで行く価値は?と天秤にかけると・・。
角閃石はひすい輝石岩にも、ロディン岩にも含まれ
勘弁して下せぇ、お代官様!
画像の石は調べてもよくわからない石。
角閃石のWiki調べをまとめると、
続けて
なるほど、だからいろいろな岩石とコラボするのだね。
和名的には、「ガラス質状の、閃(ぴかりと光る)石」」ということだろう。
2023.11/7追記
この論文は「糸魚川石ころファン」に「熟読」オススメ。ヒスイ輝石岩が蛇紋岩体に包まれて一緒に上昇してきたシステムを見出した論文のようです。
(私の付記:「角閃岩」とは「角閃石岩」とは違い「斜長石と普通角閃石とを主成分とする変成岩。暗緑色で緻密(ちみつ)な岩石であるが、しばしば片理や縞状(しまじょう)構造をもつ。」←日本大百科全書(ニッポニカ)、または「緑色片岩系の片麻岩」を言うようだ)
「アクチノ閃石」は「緑閃石(透緑閃石)」の和製英名。
画像の石は比重3.37。表面にキラキラ結晶、ツヤあり。
追記
「白っぽい石を狙え」という「教え」
ひすい拾いのコツとして「白っぽい石を狙え」がある。
今回、この「だろう精度」を上げるために、ひすい輝石岩と思われた「白色系」の石の比重を徹底的に計ってみた。
計測方法として、まず、「ほぼ白系」と白/灰の「一見、灰色に見える系」の二つのグループに分けて計測した。
(曹長岩の特徴は比重2.6程度、キラキラ結晶は大きめで、表面はツルツル。)
計測の結果
そして傾向として、
このことから、「白っぽい石を狙え」という「教え」は、「・・っぽい」が重要で、単なる「白い石を狙え」は、大まかな方向性としては間違ってはいないが、的の中心としては少しずれていると思われる。
ヒスイ枯れ海岸では、落胆ではなく楽しみに変えなきゃと思う。
画像の茶色い石は普通拾われない石だ。さらにキモイ白斑が入っていているからね。
だから、一度拾い上げたもののすぐに海に捨て戻した。
家に帰り至福の石ころ鑑定タイム。
ヒスイよりも嬉しいこの結末は、ヒスイだけではない「石との出会い」を感じた。
画像のものは、以前、左が親不知海岸で拾ったもの、右が宮崎海岸で拾ったもの。
もし人為的に撒かれたヒスイがあるとすれば、その動機は「観光客を楽しませるため」と想像する。
「よくわかる・フォッサマグナとヒスイ・フォッサマグナミュージアム」には黄色いヒスイもあることが記されている。
海岸で頻繁に見つかる「ヒスイ?」と悩む変成岩がある。
図鑑などで見る一番近い姿としては「黒色片岩(泥質片岩)」だが、その比重は2.6〜2.9程度と言われるから違うようだ。また、より重い緑色片岩は(比重3.01-3.12)なのでこれも違いそう。
2024.8.17 この石ころを実体顕微鏡を使って、あらためて見直してみた。
オンファス輝石岩
オンファス輝石はヒスイの中に入っている鉱物(緑や青の部分)という事は、各解説本で承知しているところだ。
最近、緑色岩みたいな「オンファス輝石岩」が話題となっている。
画像の石ころはそれらと思われるもの。(左の4つの比重は2.98〜3.22)
ちなみに、オンファス輝石とひすい輝石には結晶の見え方に違いがあるようだ。
石の密度(比重)の計測・計測水温との関係
糸魚川の石ころファンはヒスイは重い石で、比重が3.2〜3.4であることは良く知られている。
計り方は、いろいろなブログで紹介がされているので参考にしてほしい。
この比重の計り方については、付け加えたいことがある。
次に、なぜ水中に浮いている石の重さに質量が出るのか?という疑問。
それならと、ここで疑問となるのは、計測する時の水の温度だ。水は温度によって膨張するから、水温によって計測値が違ってきて、その比重だって変わらないのか?というもの。
そこで、実際に調べてみた。
まとめると、「一般的な比重の測定」は水温により差が出るが、問題とならない範囲。
追記
ご存じのとおり、ヒスイの砕かれた礫が、礫岩的に再凝固したものを「圧砕ヒスイ」というのは知っていると思う。
画像の石ころは比重3.13。
ロディン岩に透閃石が混ざるのだろうか?
2023年12月、冬の海岸で
冬場、海が荒れる前に・・と、訪れた糸魚川の海岸は、思っていた通り「冬の砂浜化」が進んでいました。
とにかく石拾いは時と場の「運」なので、「拾えないことを前提とした心の余裕」が必要ですね。
まあとにかく特賞の「姫」は「奇跡」、その次の「大黒」「菩薩」級はまず無理としても、
「えくぼがかわいい娘」さんは一つでも拾いたいと思う。
キツネ石に晶出しているキラキラ金属のような物質は?
以前、ハート型の変わった石を拾い上げた。(最大幅約2.5センチ・比重2.62)
今回、苦肉にも「えくぼ娘」の身代りに持ち帰った「キツネ石・最大幅約6.0センチ・比重2.76」をルーペで観察していると、なんと、このキラキラ金属が
表面の微細な凹にたくさんあるではないですか。
追記
青色系のあやしい石ころ
青色が入っている、よくわからない石ころがある。
右上の青色の石は(最大幅約4cm・比重2.78)。
鉱物用語 岩石用語は「出世魚」みたいなもの
ブリという魚が生育段階で
富山県では、ツバイソ → コズクラ → フクラギ → ガンド → ブリ(Wikpedia調べ)
長野県では、イナダ → ハマチ → ブリ(Wikpedia調べ)
と「名前を変えるのと同じように、「岩石」も変成度合いや、成分(SiO2の)の度合いによって名前を変える、と捉えるとわかりやすい。
繰り返しになるが、例えば一例で、「泥岩」の場合、その変成度合いによって
泥岩→スレート(粘板岩) → 千枚岩 → 泥質片岩 となる。
火山岩の場合は、SiO2の含有の割合(少→多)によって
玄武岩→安山岩→流紋岩 となり、
それに対応した深成岩が
斑れい岩→閃緑岩→花崗岩 となります。
鉱物用語 緑色の名がつく岩石と鉱物
「緑色岩」は「玄武岩が変成した岩」だけを指すものではないので注意が必要だ。
緑色岩は「玄武岩」が低変成を受けたもの≒変玄武岩 をいうことが多いが、
歴史的に「質性」を問わない「緑色の石の総称」としても使われていて、「蛇紋岩」なども含められることがある。
探求すると岩石や鉱物の名に「緑」がつくものが多くややこしい。
玄武岩(はんれい岩)が広域変成作用を受けると基本的に「緑色」の岩石になる。その変成度合いによって、
変玄武岩(変はんれい岩) → 緑色片岩 → 角閃岩(緑色片麻岩とは言わない)となりこれらはグラテーションの中にある。
(これらの鉱物が主体となる岩石を一般に「透閃石岩」と呼んでいる)
「緑泥石」「緑簾石(黄緑色)」などの鉱物が作りだされる。
ちなみに「緑閃石」は「透閃石」に「鉄」が混ざったものをいう。
鉱物用語 片岩
この「結晶片岩」は「原岩」がいろいろあり姿はさまざま、「十把人からげ」の名だから注意が必要。
「片岩」は同時に鉱物の「結晶化」伴うので、「片岩」≒「結晶片岩」とも言われる。
ちなみに「片麻岩」は片岩より粗粒で面構造の間隔が広い変成岩を言い、片岩より高温高圧により変成された岩石。
例えば「原岩」であれば、泥岩が変質した「泥質片岩」、藍閃石という鉱物主体であれば、「藍閃石片岩」と名付けられる。
泥岩起源の「泥質片岩」≒「黒色片岩」≒「黒墨片岩」
砂岩起源の「砂質片岩」
礫岩起源の「礫質片岩」
主にチャート起源の「珪質片岩」≒「石英片岩」
石灰岩起源の「石灰質片岩」
主に酸性凝灰岩起源の「石英・長石質片岩」
苦鉄質火山岩(主に玄武岩)起源の「緑色片岩」≒「苦鉄質片岩」≒「塩基性片岩」
さらに藍閃石が多く含まれていると「青色片岩」と呼ばれる。
泥岩起源の「泥質」には広域変成作用の低い順から
スレート(粘板岩) → 千枚岩 → 泥質片岩 となる。
変玄武岩(変はんれい岩) → 緑色片岩の順となっている。
夏の糸魚川
ヒスイは拾えないことを承知で、糸魚川のヒスイ海岸に行ってきた。
4つの海岸を歩いたが、やはり「きれいに掃かれた神社の境内」状態で、あばたヒスイの豆二つがやっと。
それでもその一つは面白い石で、片面ヒスイ輝石(白い面)、片面がエッケルマン閃石(推測)(灰緑色の面)、そしてその接する所にコスモクロア輝石かもしれない緑色の鉱物がついていた。まさしく教科書通りの様相を見せた石だったので、とてもうれしくなった。
コスモクロア輝石の成因は
新潟県糸魚川市金山谷産コスモクロア輝石の成因 藤井悟 (新潟大学・院・自然科学研究科)・小河原孝彦(糸魚川市職員
で、ヒスイ輝石が関係していることが報告されている。
コスモクロア輝石はとても濃い明るい緑色と黒い(おそらく濃緑黒)斑や斑点があることが特徴と思われ、この石にもその黒斑点が見られるので、コスモクロア輝石かもしれない。
パナイぜ ! 鉱物の世界
物事を「理解」するということは、「定義の暗記」ではない。
一本の樹木で例えるなら、一枚の葉は、主幹、主枝、そして細枝と分岐して、その先にある。
この一枚一枚の葉を鉱物で言うなら、蛇紋岩、ヒスイ輝石岩etcとした場合、
これらの岩石(葉)が、どんな種から生まれ主幹となり、どんな主枝から派生し、どんな細枝に分岐した先に生まれたものなのかの「系統・道筋」を知ることが「理解」で、その石(一枚の葉)や枝先だけの狭い範囲を語っても、理解は深まらない。
もちろん、これこそ「未知を探求する科学の世界」であるが、とにかく、一般には難しすぎる。
・マントルは「どろどろに溶けた」マグマを想像するが、それは違い実は「岩石層」だ。
マントルは「かんらん岩」でできていて、深さにより構成物質が違うとされる。
・地殻はマントルの表面にある、緩い岩石構造の層(地震波が伝搬する層)を言う。
地殻は主にマグマ由来で固まった玄武岩、安山岩、花崗岩などの「火成岩」で、陸地からの流入由来の堆積岩も少し加わる。
また、陸地も地殻の一つ。
・プレートは地殻とマントルの最上部を合わせたものをいう。
ようするにクッキージャム菓子で、硬いクッキーが「マントル」、その上に薄く塗られたジャムが「地殻」、
「プレート」はジャムの影響で?で「クッキー接触面を引きづり込んだジャム層」と想像すれば良いと思う。
その生成は、主にプレートの移動作用によるもので、マントル(かんらん岩)がプレートの移動作用によって地下から上昇すると、マントル(かんらん岩)が溶け、(それが固まると玄武岩となり地殻を形成する)または、地下への沈み込みでマントルと地殻が溶ける。(発散境界での減圧融解と沈み込み帯での低融点成分(例えば、水)との混合によって溶かされたもの)
広域変成帯ではいろいろな「原岩」が変成を受け変化する。
一般にSiO2とH2O(水)が添加されMgO(酸化マグネシウム)が除去された場合に蛇紋石を主とする鉱物が形成される。
化学式は、かんらん岩 3(Mg0.9Fe0.1)2SiO4+水 4.1H2O=蛇紋石 1.5Mg3Si2O5(OH)4+ブルーサイト 0.9Mg(OH)2+磁鉄鉱 0.2Fe3O4+水素 0.2H2(aq)となる「と考えられている」。
また、蛇紋岩化の度合いで、原岩のかんらん岩に近いものは、全体に黒っぽくなり、比重が最大の3.1に近いものとなると思われる。
化学式は、4Mg2SiO4 (かんらん石) + CaMgSi2O6 (透輝石) + 5H2O (水) + 2H+ = 3Mg3Si2O5(OH)4 (蛇紋石) + Ca2+。
このロジン岩化作用によって、はんれい岩や玄武岩中のFe, TiやNaが溶出し、Caが付加され、Ca、Si、Al、Oを主体とする鉱物の集合に変質する。 多くみられる鉱物は、灰ばん柘榴石、斜灰簾石、ベスブ石、ぶどう石、緑泥石、透輝石などである。
この流体からヒスイ輝岩や曹長岩、ヒスイ輝石を含む曹長岩が生成する。
パナイぜ ! 地学・鉱物用語
その中で「鉱物用語」はそれに輪をかけるような専門性があり「地獄」そのもの。
これらは同義または関連している言葉だ。
ウギャーッ!
これらの言葉ひとつひとつの「道理」を理解していないと、「始まらない」のだから「地獄」だよ。
曹=ナトリウム(Na) →曹達(ソーダ)
灰=カルシウム(Ca)
加=カリウム(K)
礬(ばん)=アルミニウム(Al)
鉄=鉄(Fe)
珪=珪石(silica stone)
長=長石(feldspar)
ほか
となっている。
「曹長石」は
ナトリウムが主体の長石という鉱物であり、
「曹長岩」は
曹長石が主体の岩石
ということを示しているわけだ。
「mafic」=マグネシウム(ラテン語 magnesium)の ma + 鉄(ラテン語 ferrum)の f + 接尾 〜ic (のような) = の合体系英語 + 「岩」の英カタカナ読み和表記。
苦鉄質岩はだからして、マグネシウムや鉄を多く含む岩石であることを示し、色も黒っぽく・暗く(有色)になる傾向。
珪長質岩(felsic rock)= フェルシック岩
「felsic」=長石feldsparの fel + 珪石silica stoneの s + 接尾 〜ic (のような) = の合体系英語 + 「岩」の英カタカナ読み和表記。(ただし漢字の使い方の順番、長と珪の順番が逆になる(持病)。ホントいやになる)
珪長質岩はだからして、珪石・シリカ(SiO2)や長石を多く含む岩石であることを示し、色も白っぽく(無色)になる傾向。
アクチノ閃石 (actinolite)=actinolite の actino +「閃石」の英カタカナ読み和表記。
しかも、アクチノ閃石は = 緑閃石 = 透緑閃石、で、漢字表記が二種類もある。
よくFMMで鑑定される石の名
「ソーダ珪灰石」=ペクトライト(pectolite)は、
ソーダ=ナトリウム・Na、珪=シリカ・Si、灰=カルシウム・Ca、で構成されている、石=鉱物で、
化学組成は Ca2NaSi3O8(OH)。
まったくその通り、化学組成を違う言語で組み合わせた名前であることがわかる。
長石(グループ名) グルーフ内の多種の鉱物は「〜ite」「〜イト」「〜長石」「〜斜長石」と表記される。
角閃石(グループ名) グルーフ内の多種の鉱物は「〜ite」「〜イト」「〜閃石」と表記される。
輝石(グループ名) グルーフ内の多種の鉱物は「〜ite」「〜イト」「〜輝石」と表記される。
長石はシリカ(SiO2)が多い場面で多く形成され
角閃石と輝石はシリカ(SiO2)が少なく、Ca、Mg、Feなどが多くなる場面で多く形成される。
劈開とは簡単に言えば「石の割れ目」
・「鉱物」を示す場合は「〜輝石」「〜閃石」「〜長石」と言うが、「〜角閃石」だけは使わない。
・「グループ」を示す表記として、「この『輝石』は」と言うが「この『閃石』は」とは言わない。
閃石の場合は「この『角閃石』は」と表現される。
負電荷をもつ鉱物(Mg・Na・Al)が多い岩石を「塩基性」という。
陽電荷をもつ鉱物、シリカ(SiO2)が多い岩石を「酸性」という。
「電荷」負電荷・陽電荷がある。粒子の性質
「電子」負電荷・マイナスの電荷を帯びた粒子の一つ
「塩基」水溶液中で解離して水酸イオン(OH-)を生じ、水素イオン(H-)を受け取り、酸と反応(中和)して塩を生じる物質。
「酸」水溶液中で水素イオンを放出する物質。
「酸性岩」だからといって酸性岩を水に入れ、その水のpHを計ると酸性になるわけではない。
「塩基性岩」もアルカリ水にはならない。
鉱物でいう塩基と酸は電荷の移動的に見たもので、鉱物自体の性質を意味していない。
塩基性岩は≒苦鉄質岩であり
酸性岩は≒珪長質岩である。
珪長質岩=フェルシック岩≒酸性岩≒長石・石英が多い≒無色傾向の岩
という「大まかな」関連式が成立するというわけだ。
このように鉱物用語と意味を理解するには、いかに「トリッキー」であるかがわかってもらえると思う。
これはほんの一部に過ぎないのだから「地獄」だよ。
「石」と「岩」の定義、あらためて、ヒスイってなに?
しかし、始めてみると、「地学」ほど?専門用語が複雑化しているものはないというもので、一つの用語について「化学や動的、系統や道理」があり、別の言い方をすれば、「一つの用語にたくさんの意味が込められている」ことを知りその深さを実感した。
これを覚え、理解しなければ、「地学ゲームのグラウンド」出られないことなのだと思う。いわゆる「スポーツゲーム」のように「地学ゲーム」に参加するには、まずその「ゲームのルール=専門用語」を理解しなければならないわけだ。地学はそのハードルが高い。
ヒスイ拾いをきっかけにいろいろな石に興味を持って、FMMの売店で解説書を買い読みふける。その内容とそこで使われる用語は、「ルールを理解した学者」が書いているわけであって・・。
しかし、これは私のような一般の人には「なんとなく」理解させることはできるが「その深度」は低い。書く(解説する)ほうからすれば、複雑で例外性もある「用語」をいちいち説明しながら進めたら、日が暮れてしまう。
だからこそ、その先は個人の努力しか解決法がないのが現状だ。
変成岩の分類・命名法
というもの。おそらく大学のリモート講義の公開と思われます。本当にありがたい。
基本的に、
鉱物は「〜石」
岩石は「〜岩」(岩石=は複数の鉱物が混在しているもの)
とする。
また、「石英」という鉱物には「〜石」の「鉱物名」がないようだ。(珪石は資源として使われるときの『鉱石名』)
このように学術書を読む時に、この「石」「岩」の区別がついていないと、すでにここで、「あいまい」となる。
だから、
曹長岩=曹長石を主体とした岩
曹長石=一つの鉱物
と理解しなければならない。
ヒスイ輝石=鉱物名
ヒスイ輝石岩=ひすい輝石を主体とした岩石
ここで問題となるのが、「オンファス輝石岩」についてだ。
現在、「オンファス輝石岩」は宝石名としての「ヒスイ」の範疇として認めているようなのだ。
それはヒスイ輝石岩の構成鉱物として、歴史的に区別されずにずっとあったからだと推測している。(ヒスイ輝石岩中のオンファス輝石は近年わかった)
私も安易にその名を使ったが、「オンファス輝石岩」と訂正したい。
キツネ石の名称はヒスイもどきである「愛称名」なので、
キツネ石は
・ロディン岩
・ニッケル・クロム含有白雲母岩
または リストベナイト=マグネサイト(白色)、ドロマイト(白色)、アンケル石(淡褐色)などの炭酸塩鉱物(炭酸イオンを含む化合物からなる鉱物)を主体とし、雲母(緑色)や石英(透明)を含む。
石のまちコレクション
などをさします。
ひすい海岸の状況
朝焼けの海岸、一番乗りとおもいきや、既に懐中電灯で照らすハンターの姿が。
べた凪の良い面は、落ち着いて探せること、水中まで見通せることですね。
しかし、石の入れ替えが少なく、くまなく拾われただろうフィールドは、きれいに掃かれた神社の境内そのもの。
あからさまなヒスイの姿などはあるはずもなく。
キツネ・ロディン・ネフ君、変な石さえも少なく、ドキドキ感がない。
これは子供の夏休み期間になればもっと顕著になるだろうから、その前に・・と。
7時間根性歩いて「豆三つ」というところ。よっぽど目が良くなければ「ナンマイダー」と托鉢姿に。
それでも、拾える人には拾えるのだから「憑いてる」「運」ですねぇ。
女性ハンターがゴミ拾いのトングで拾いあげていたのだ。
「なるほど!」これはべた凪の海岸では良い戦法だと思った。
しかし、波の荒い時は「落として」泣きを見る可能性もあるから、やっぱり「掬い棒」が確実かなとも。
「クリソプレーズ」は石英とニッケルの化合物で、色はアップルグリーンという。
画像右側の石は、「まさに」と言えるものかもしれない。結晶は大きくギラギラ。
薄緑地の中にある灰色は金属光なのでニッケルか?比重は2.82。
それでも糸魚川ではおもしろい石は拾えるからうれしい。
画像左の石は黒地で、表面に透閃石岩ふうの荒い針状結晶があり、それが輝いて見える。
磁石を近づけるとなんとくっ付く。ビックリ ! 蛇紋岩らしい。
あの有害なアスベストは蛇紋岩系なので、これがそうか! というものだろう。
チャック袋に入れて保管した。
蛇紋岩は黒系(画像・中)、緑系、白斑、でいろいろ。そして「磁石に付かない部分」もあるから、「透閃石岩」に間違えることがあり強敵!
一般的に蛇紋岩として代表的な色合いは、アップルグリーン地に黒斑。(画像右)
これらの比重を計るとみんな仲良し2.6・・だったので。すごい!と声が出てしまう。
比重は2.88。手触りはややすべすべしていて、白黒模様。
石灰岩系の黒大理石にも見えるのだが・・。
調べてみると糸魚川には石灰岩層があるから、大理石もあることがわかった。
しかし、黒大理石の画像は出てこないのだよ・・
ひすい海岸の状況
まだ能登半島の余震は続いていて、連日揺れているから津波のリスクはあるので、緊急情報のバイブが感じられるように携帯は胸にいれておいた。佐渡沖で大地震があった場合、おそらくひすい海岸への津波到達は10分もかからないと思う。
現場の海岸は津波の影響は感じられず、若干じゃり浜が広くなっていた場所があっただけだ。
ヒスイハンターの訃報
同じ愛好者として「ご冥福をお祈りいたします。」
事故は他人事ではなく「明日は我が身」と肝に銘じます。
ヒスイ拾いは、動画などもさかんになり「過熱中」。
無理をせず「ほどほど」にいきましょう!
酷暑の海岸
道端の雑草が枯れて、キャンプ場の芝も茶色。
とにかく「暑くて死んでしまいそう」が一番合う表現。
これはフェーン現象がもたらしたもので、全国的なニュースになっても良いと思うのだが・・。
浜には釣り人はおらず、ハンターだけはちらほらという状態。
ヒスイ拾いは1.5時間の2セットが限界でした。
ガソリン高の最中に「ヒスイ枯れ」は身に染みるよね。
それでも、「いろいろな石ころとの出会い」があるからやめられない。
石ころはヒスイだけじゃぁないのだよね。
うわっ、派手な色の石だよ!
黄緑色っぽいロディン緑と青系のラインが混ざっている。
キツネ系だなっ! こんな石ころこそ今日のお宝さ!
と、捨てずにポーチの中に放り込んだ。
その日は、同行友人と会うたびに「これ見て!きれいでしょ。レインボーキツネ石」と笑いをとった。
家に帰りこの石をルーペで見ると、表面にキラキラがいっぱい!さらに石の形もヒスイ型。比重は3.28。
「なぬっ!お主、ヒスイ姫かぁ?」
ロディン濃厚だけど、ヒスイが少し混じっているかも・・
だから怪しい石たちはおもしろい。
ある人は「ヒスイは宝石質のもの、こんなのただの石ころ!」と「言葉狩り」のごとく唾を吐き捨てるように言う。
ある人は「これはヒスイっぽいね。うん、ヒスイだよ」と言う。
いわゆる「ヒスイ鑑定の温度差」だ。
学者・専門家・アマチュア・宝飾関係者など、「ひすい」に対する言葉の意味は三者三様、相対的なものであることの理解が大事だ。
今、科学の現場は「専門家だけがわかっていればいい」という時代は過ぎ、「市民に分かりやすく伝える」「市民社会とリンクする」「裾野を広げる」が重要になっている。雑誌「ニュートン」や、あのJAXAの衛星打ち上げライブをみれば一目瞭然です。
拾い上げたのは、少し大きめの変成のかかった石英斑岩のような石。
くすんだ白・くすんだ白緑・灰色で構成されている石模様。
手触りも、角ばりも、ヒスイと似ているが、「またあの石英斑岩だよ」と・・
何度も海に戻そうとしたシロモノだったけど、一度家に持ち帰った。
この石、比重を計ったらなんと3.43
うわぁ!ヒスイの可能性大でないですかぁ!
左がその怪しい石(比重3.43)、右が石英班岩(比重2.58)
ほんと似てるよね。現場では判別できないよ!
それもそうだよね。その石のヒスイ混合率が低ければ比重だって低くなる。
特に薄っすらラベ・青?が入り、穴の多い風化しているような石はその傾向が強いよ。
最近、ラベでも「妖精ヒスイ」と名付けられたものがあって、それとは違うやつ。
画像の石は比重3.0
画像の石は、ロディン岩のような石で、緑色の鉱物が見事に入って浮き出ている。比重は3.18。
この鉱物はまわりの鉱物よりも硬いので、基岩の中で浮きだしたもよう。
一般にロディン石なら、この緑色の鉱物は「透輝石」のようだが・・。
角閃石類の本の表紙
しかし、これは「角閃石」類の図鑑で「輝石」類ではない。
また、しかし、
札幌の石
のように、ロディン岩の中にも「透閃石」があるという情報も。
よって、今のところ、この鉱物は「透閃石または透緑閃石(基本、透閃石で、Fe成分が多く緑色に偏った鉱物)」が有力。
私は、黒ヒスイ(宝石名)「オンファス輝石岩」と個人的に思っているものだ。
FMMで黒ヒスイとしての同様な石の展示がないので、本当にヒスイ輝石岩なのか?と、けっこう調べている。
・比重は約3.05。キラキラ結晶は見えない。
・真っ黒と言っても緑系の黒。
・宮崎海岸のヒスイテラスで手に入る「ヒスイ海岸のいしころたち」というパンフレットや「WEB」には、同様な石が「黒ヒスイ」として掲載されている。
・泥岩には思えない。
・石の形、手触りがヒスイ。
・蛇紋岩の黒の可能性もあるが、比重が重く、磁石に付かないし、蛇紋もない。
・蛇紋岩は比重が軽いが、黒系統の(かんらん岩に近い?)ものは、実計測したところ比重が3以上あるものがあるが、これは違いそう。
怪しい石の考察でした。
特に「ろうかん」といわれるものは、その傾向が強いと思う。
画像のヒスイの比重は3.26。
それは、みかんの房形で背中が丸い。
画像の石はすべて、形がこのとおり。
ようするに、同じ物質でできているから、割れ方の素性(劈開)がおなじなので、波の中での削られ具合が同じと推測している。
実際に磁石につき、いろいろな蛇紋岩の比重を実際に計ると低い。
磁石は黒い斑の部分につくようだ。
しかし、比重の重い蛇紋岩?があった。
見た目は全体的に黒で(画像は明るく写っている)、表面はヒスイのようなキラキラ結晶があって、蛇紋がある。
比重は3.11。
どう見ても蛇紋岩なのに・・。不思議な石ころでした。
最近新たに蛇紋岩の比重を調べたところ2.8〜3.1の記載があった。
この石ころは蛇紋岩で決まりですね。
わりあい大きな石ころだったからそう感じるのだと思う。
ただ、表面はざらついていて、ヒスイの手触りはなく、ヒスイではない。
(画像の石は表面を少し磨いた後のもの)
重さとゴツゴツ感からコランダム?と思ったのだけれど、比重は3.15。
コランダムは比重4.0でヒスイより重い。
微妙ですねぇ・・
しかし、この論文の記述からすると↓
新潟県糸魚川地方のコランダムに伴うプライスワーク雲母とストロンチウムに富む雲母
コランダムの可能性も。
青黒い部分がコランダム礫で、それを充填している白黄色の物質が「雲母類」かもしれない。
この石ころには、これらの物質が混ざっているので、比重が軽くなったとも言えそうだ。
中東情勢次第では、今後ガソリン価格はさらに値上がりの可能性を秘めているらしい。
行ける時に行っておこうという算段だ。
現場の状況はオーバーユースによる、ヒスイ枯れ状態が続いていて、ネフライトやキツネ石も、ヒスイではない「あやしい石ころ」たちでさえも少なかった。
波で入れ替わる砂利をずっと定位置に留まり観察している。
浜を歩き回っても拾えない状況下では、この戦法も「あり」なのだろう。
おそらくこの方法で「戦果」があったからだろうから参考になる。
とにかく石拾いは「運」。「算段」は三の次。その時々の一期一会の「運」次第ですね。
火成岩の変成作用でも生じ
透閃石岩(ネフライト)もその一つと言う。
いわゆる「角閃石岩」と言われるものなのかわからない。
比重は3.12。表面にキラキラ結晶なし。
角閃石は「ケイ酸塩鉱物」のグループ名。
鉱物学では、シリカ(二酸化ケイ素、SiO2)もケイ酸塩鉱物と見なされることもある。
(よって「石英」もそのひとつなのだが、分類では「酸化鉱物」とされ、「ケイ酸塩鉱物(負電荷を帯びる)」ではない。石英は電荷が負電荷を帯びていないからと思われる。)
地球上では、数十億年間にわたり地殻が形成・再活動をしてきた過程の結果、多種多様なケイ酸塩鉱物が幅広い範囲と組み合わせで形成されてきた。こうした過程には部分融解、結晶化、変成作用、風化、続成作用などが含まれる。
そして「角閃石」は「グループ名」だから、「アバウト」な領域をさす言葉となる。
「火成岩」「堆積岩」「変成岩」と同じような「グループ名」と変わらないわけだ。
ある石の説明で、「角閃石岩(角閃石が主体の岩石)」という名が使われる。これは、岩石を構成する「鉱物の詳細がわからない場合」や「鉱物の詳細説明は必要のない場合」に使われるものだが、なんと「個別岩石名(特定鉱物名+岩)」と同時に「角閃石岩」を語るケースがある。
ふつう、鉱物用語の基礎を得ていない「一般者」にとっては、混乱と誤解を招いてしまう。
2011年の論文「飛騨外縁帯糸魚川―青海地域の地質と変成作用
― 日本列島地質体最古の沈み込み帯型変成作用と
上昇期の加水変成作用 ―
松 本 謙 一* 杉 村 和 子** 時 田 い ず み***
椚 座 圭 太 郎* 丸 山 茂 徳」に、角閃岩(4種)の記述を見つけた。
・角閃岩類:アクチノ閃石+普通角閃石+斜長石の共生で特徴づけられるタイプ。
・ザクロ石角閃岩類:ザクロ石(アルマンディン)+普通角閃石の共生を示し,斜長石を欠くタイプ。
・黒雲母アクチノ閃石岩
・アクチノ閃石岩
画像の石はどう見ても、結晶が見えないから、透閃石岩には見えない。また、結晶が密のネフライトでもない。また、蛇紋岩だとしたら比重が重すぎる。(蛇紋岩で重いものは黒色系)
私にはわからない石です。角閃石岩の一つでしょうか?
半透明な白、マットな白、透明感のある緑の物質が石英片岩のようなライン層を作っている。
比重からして石英片岩ではないとすれば、ロディン岩系と推測。
しかし、緑色の物質は、あのロディ岩の緑(透輝石)ではなく、半透明な部分と表面のツルツル具合はヒスイ輝石岩を思わせる。
ロディン岩とヒスイ輝石岩の混合石なのか?
怪しい石でした。
以下の論文をみつけた。
新潟県糸魚川市に分布するロジン岩を含む肉眼鑑定
の難しい岩石の鉱物学的記載
小河原孝彦(フォッサマグナミュージアム)
この情報によれば、この石ころが当てはまるかもしれない。
またその講演資料新潟県糸魚川市に分布するロジン岩を含む肉眼鑑定の難しい岩石の鉱物学的記載(講演資料)
小河原孝彦(フォッサマグナミュージアム)
はとてもすばらしい内容です。
白色系のあやしい石たちの比重を徹底的に計ってみた
白っぽい石は、石英、ロディン岩、曹長岩、「白/灰まだら」のいわゆる曹長岩混合タイプの「ひすい輝石岩」、他、がある。
その中でも「ひすい輝石岩だろう」と思われるものを、長年にわたり拾い集めてきた。
すると、色によるおおまかな傾向が見えてきた。
石の大きさは小指の幅から親指の幅サイズが多く、最大5p程度のもの。
画像上2列の「灰色に見える系」は2.72〜3.21(上下交互の順で、右に行くほど比重が高い)
画像下2列の「白系」は2.41〜2.91(上下交互の順で、右に行くほど比重が高い)
まず言えることは、
@白系の石は「曹長岩〜曹長岩/ひすい輝石混合(ひすい混合率が低い)」と思われ、比重が低いものが多い。
A比重は「白系」より「灰色に見える系」のほうが高く、「灰色に見える系」は「曹長岩/ひすい輝石混合(ひすい混合率がやや高い)」と思われる。
B比重が2.6以下のものは「ひすい輝石を含まない曹長岩または石英」だった思われる。(だろう誤認)
@真っ白な純度の高いひすい輝石岩は稀で、ほとんど拾うことが出来ない。
Aラベンダー系のヒスイは、確かに白系がほとんどだが、これも稀でほとんど拾うことが出来ない。
B比重が重い、あからさまな「ひすい輝石岩」は「くすみ」のある有色系が多い。薄緑のものはその代表的なもの。
砂丘でトレーニングをする高校野球児のごとく、ヒスイ拾いの砂利浜歩きはけっこう足にくるから、
この頃は、すっかり幼児並みの歩くスピードになった。探す範囲が狭くなったけどこれでOKだ。楽しもう!
「石との出会い」はヒスイだけではない。こそに至福がある。
そして、もう一度ヒスイはないか、辺りをサーチしていると、またもやこの石が目に入った。
ウーン、もう一度拾いなおして、「まあ、持って帰るか・・」とポーチに入れた。
この茶色い石もステージに並べられて、一応ルーペで覗くと、キラキラとした金属が無数に入っているではないか。
火山岩系らしいので、この金属は「黄鉄鉱」と思われた。
比重は3.11。
調べてみるとこの石ころは「金華石」と言われる「硫化メノウ」らしい。
キモイ白斑はメノウで、確かにルーペで見るとまさにその模様。
なんか、もう、「あばたもえくほ」的なヒスイ信仰はどうでもよくなった感じだ。
どちらも形が不自然で、カッターで切り落とされた痕跡がぬぐえないもの。加工品の切れ端しを思わせる。
昨年、友人も親不知海岸であからさまな不自然個体を拾っている。
撒かれたものが「糸魚川産」であるなら、許容されるかもしれないが、ミャンマーなどの外来産などの場合は学術的混乱を生じさせる原因となり、また、観光のため外来産を撒くという社会的合意がされていないので問題となるだろう。
糸魚川には黄色いヒスイもあるようだ。しかし、FMMの展示にもなかったようで?話題に上がらないのはなぜだろう?
画像の個体は少し緑がかったくすんだ白黄色の石で、比重は3.21。
角ばり、手触りはヒスイで、結晶は観察できない。
ロディン岩系、または、ヒスイ輝石が混ざっている「ひすい輝石岩」かもしれないが、外国産の「黄色ヒスイ」とは別物。
画像の石がそうで、「結晶片岩」系にも見える。
黒/白まだらで、白の部分がヒスイっぽい。比重は3.4。
しかし、海岸放置の頻繁性から「ヒスイではない」と思うのだが、いつも持ち帰ってしまうものだ。
比重3.4は重すぎる。消去法として「コランダム」の可能性も。白色は雲母類で・・?
コランダムではなく、ヒスイ輝石岩かもしれない。
ちなみに「オンファス輝石」は鉱物名なので、それを主体とする岩石は「オンファス輝石岩」となり、FMMの鑑定にも使われているので安心した。
オンファス輝石岩もヒスイ輝石岩と同じように、色のくすみは他の鉱物の影響によるものなのか?
右の画像の石は比重3.20。良く見ると表面に半透明のオンファス輝石らしき鉱物が見える。
ヒスイ輝石は、とても薄い長方形の結晶が表面に貼り付いている。
オンファス輝石の結晶は、微細〜見えない。
比重の計測は「めんどくさ」と思われるけど、道具さえ揃えば思ったより簡単だ。
この計測ができれば「目視」だけの判断基準からレベルアップできるので「この石、何?」と思う人は、お勧めしたい。
比重を計測して良かったことは、「今までヒスイと思い込んでいたものが、石英だったり」、
自分の「いい加減さ、思い込み」を知ったことだ。これを経験すると、簡単に「これはヒスイ」と思わなくなる。
水の中に石を吊る時に、石の固定方法として糸で十字に縛るが、これは重い石の場合だ。
軽い石の場合ぱ糸と石の結合に「セロテープ」を使えば簡単 !
これは水の中に入った石の「体積に対応した水の重さ」を計っているだけのこと。
言い換えれば、水かさが増えた分の「水の重さ」を計測しているということ。
さらに言い換えれば、うつわすれすれに入っている水がある。その中に石を入れれば、その分、水がうつわからこぼれ出る。この「こぼれ出た水を集めて」重さを計ったものということ。
だから同じ大きさの石なら、重かろうか軽かろうが(水に沈む石なら)、水中の重さの値には関係がない。
関係があるのはその石の大きさ(体積)。
要するに「比重とは」その石(立体物)が「水という物質で出来ていた場合の重さ」と本当の重さとの比較値だ。
(調べてみたら4℃の水1000mlを80℃にすると1029mlになり、2.9%増加となるとのこと)
21.09gの石ころを温度の違う水の中に入れてみた。
・氷を溶かした冷たい水の時の水中計量は 7.18g → 比重は 2.9373
・80℃に近い水の中での計量は 6.85g(理論値≒6.97g) → 比重は 3.0788
(水温により数値が違うことを確認する実験なので、数値誤差はご容赦)
比重は計る水温で違ってくるが、極端な温度差の場合でこの数値だから、通常水温が15℃前後であれば、その温度変異差はこれよりも少なく問題とならない、ということだろう。
密度の求め方は重さを体積で割ったもの。
石ころの重さは「計り」で調べることが出来るけど、体積は簡単には計れない。
よって、本来、その石の密度を求める場合、アナログ的にはその石を「体積が調べられる四角柱にカット」する方法と思われる。
しかし、天然石ころは不定形なのでそうはいかない。
だから、その体積を「水」のもつ(1cm3≒1g)という性質をを用いて、簡易的に算出するという手段を用いている。
さらに精度を上げるなら、水温ごとの密度から膨張率を計算して、それを計測値に掛けて補正するしかない。
画像の石(比重3.03)は緑色の鉱物がゴツゴツと内臓されている石で、「この鉱物粒」は何なんだろうと不思議に眺めていた。
この鉱物粒は実体顕微鏡で観察すると、ネフライトとしか思えなかった。
粒を充填している物質も黒いながら「透閃石岩」の結晶模様が少し見えて・・
結論として「圧砕ネフライト」があってもいい?ということでした。
表面がツルツルで、きれいな角閃石が透閃石岩の母岩に付いているといった感じ。
(母岩の結晶は透閃石岩にしか見えない)
でも透閃石〜透緑閃石の玉(緻密な結晶構造物)は「ネフライト」でしょ。なのにこの緑色の角閃石は違う。
良く見るとロディン白が表面にあり、すこしゴヅゴツしているので、この緑色はやはり「透輝石」とみた。
透閃石とロディン岩に含まれる透輝石は同じ「珪酸塩鉱物」。
石ころは化学式とにらめっこの、分類枝を理解しなくてはならないようだ。
石ころ用語は「個別名」「グループ名」が幾重にも重なっていて、表現がどこの位置をさしているのか一般には、「ややこし過ぎて」ほぼ理解できない。
これは誤解が誤解を生みだし拡散する悪循環の源だ。
「地学の弱点」とでもいえようか。
参考:「文部科学省」
参考:「鉱物の系統分類」
気象状態、波の高さも、良い日を狙うのですがそれでも「自然」相手ですから油断禁物です。
適度の波は、凪の時よりは石の入れ替えが起こり、拾えるチャンスは増えると思うのですが、サーチは波の入れ替時の一瞬で、
凪の時のじっくりサーチと比べて、どっちが良いのかはわかりません。
だから、波のある時は「石の入れ替えがあってラッキー」、凪の時は「じっくり探せてラッキー」と、ポジティブに行こうと思っています。
と、思うのですが、やはり遠方者の私は「せっかく苦労して来たのだから・・」のエネルギーが強くて、「拾えないと」次から次へと、くたくたになるまで浜を「ハシゴ」してしまいます。これは帰る時の「無惨感」を払拭するためにです。(笑)
「集中力」や「突進力」は必要だけど、限度を超えると自分が「粘着」「キモイ」となる。それを感じたらここが「引き」です。
また、この粘着メンタルは良くなくて、登山で言うなら、「遭難予備軍」だなぁと反省。そのうち、波にさらわれそう・・。
とにかく、何事も「・・し過ぎ」は良くないということです。
そんな心のデフォルトでいても、「灰色のガンダルフ」(ひすい輝岩×曹長岩)や、影武者の「黒沢君」(緑色岩ふうオンファス輝石岩)なども拾えず、「ネフ君」「ロディン君」の笑顔も見られない場合は、国道沿いのラーメンショップで「背脂たっぷりのスープまで飲み干す」というわけです。
その姿は割れたばかりの様相で、灰色の生岩に緑色の閃石と白色の脈が入っていた。
この緑色がなんとなく「コスモ君?」を思わせるもので、この石はエッケルマン閃石かもしれないと思っていた。
気になって、ルーペで覗くと石の表面にとても細かい、金色のキラキラ金属がたくさん付着していた。
この金属光は太陽光に反射させればわかるが、ふつう光ではわからず、10倍のルーペでわかる微細なもの。
このことから、このハート型の割れた石の正体は「キツネ石」の可能性が高いと判断。
しかしです、このキラキラ金属は何?
「よくわかる・フォッサマグナとヒスイ・フォッサマグナミュージアム」にはヒスイに「銅」の晶出もあるとの記載から、銅の可能性もあるけど、この金属は「赤く」はない、よく観察するとほとんど「金色」で「銀色」が混ざっている。
「また、ほかには「金雲母」というものもあるようですが・・。
再度、実体顕微鏡で見ると、雲母のような平たい結晶がところどころに見える。
金雲母の可能性も。
金雲母の化学組成は KMg3AlSi3O10(OH)2
キツネ石が生成される環境で出来るのか?
鉱物化学の素人ではわからない。
個人的には左上のものは(最大幅約6cm・比重2.83)、手触りツルツル、角ばり、模様はひすいで、「ヒスイ輝石」の混ざった岩石ぽいが、比重が低い。
この石は拾った時は全体がもっと鮮明な青色だったが、家に持ち帰り時が過ぎると青色は目立たなくなってしまった。
表面が異常なほどのツルツルで「青ネフライト」とは少し違うようなのだ・・
石英系か?
青い石英系って糸魚川ひすい海岸エリアで見つかるの?