本誌では語りきれない、だたら八つ マニアックWEB版
あばたもヒスイ
田中 げんごろう

−新潟県糸魚川市・ひすい海岸で拾った石の話題−
 これはヒスイ?? という怪しい石ころたちを語ります

このページは拾ったヒスイの「戦果」を紹介するものではありません。


新着記事

クリソプレーズ@

 このごろ「クリソプレーズ」という言葉をよく耳にするようになった。
「クリソプレーズ」は石英とニッケルの化合物で、色はアップルグリーンという。
画像右側の石は、「まさに」と言えるものかもしれない。結晶は大きくギラギラ。
薄緑地の中にある灰色は金属光なのでニッケルか?比重は2.82。

 左の石はいわゆるキツネ石と言われるもので、やや透明感のあるまだら薄緑細粒結晶で出来ている。 比重が2.72だから、ロディン岩ではなく、石英系と思われる。

 ネット界隈では濃い緑色の石英も「クリソプレーズ」と言っているので、緑系のきれいな石英はみなそう呼ぶのだろう。


新着記事

クリソプレーズA

 画像の石は「ヒスイもどきの石英系」で比重が2.62。
ゴツゴツ面があり落ち着かないが、表面にスベスベ面があって、白、緑の半透明層になっている。
この白の部分がとても石英には見えず、質はヒスイに似ている
緑の部分は濃緑でこれもオンアァス輝石に似ていてきれいだ。

 これも「クリソプレーズ」と呼んでしまえば終わりだが、石英はいろいろな鉱物とコラボするのでその結晶具合の質感はいろいろなのだろう。
その石英がどんな鉱物とのコラボで生じたのか?を知ることができれば楽しさ倍増なのだが・・。


新着記事

蛇紋岩七変化

 まったくもって「翡翠坊主」の一日。「ナンマイダァー・チーン♪」
それでも糸魚川ではおもしろい石は拾えるからうれしい。
 画像左の石は黒地で、表面に透閃石岩ふうの荒い針状結晶があり、それが輝いて見える。
磁石を近づけるとなんとくっ付く。ビックリ ! 蛇紋岩らしい。
あの有害なアスベストは蛇紋岩系なので、これがそうか! というものだろう。
チャック袋に入れて保管した。
 蛇紋岩は黒系(画像・中)、緑系、白斑、でいろいろ。そして「磁石に付かない部分」もあるから、「透閃石岩」に間違えることがあり強敵!
一般的に蛇紋岩として代表的な色合いは、アップルグリーン地に黒斑。(画像右)
これらの比重を計るとみんな仲良し2.6・・だったので。すごい!と声が出てしまう。


この木何の木♪ この石何の石♪

 画像の石の正体がわからない。
比重は2.88。手触りはややすべすべしていて、白黒模様。
 石灰岩系の黒大理石にも見えるのだが・・。
調べてみると糸魚川には石灰岩層があるから、大理石もあることがわかった。
しかし、黒大理石の画像は出てこないのだよ・・

 

 


2024年3月6日
ひすい海岸の状況

 能登半島地震後、自己自粛を明け、気になっていた海岸の様子を見がてら「石ころたちとの出会い」を求め、行ってきた。
まだ能登半島の余震は続いていて、連日揺れているから津波のリスクはあるので、緊急情報のバイブが感じられるように携帯は胸にいれておいた。佐渡沖で大地震があった場合、おそらくひすい海岸への津波到達は10分もかからないと思う。
現場の海岸は津波の影響は感じられず、若干じゃり浜が広くなっていた場所があっただけだ。

 あいかわらず、ひすいとの出会いは簡単ではありませんでした。


2024年3月2日
ヒスイハンターの訃報

 青海の海岸で2月24日にヒスイハンターが崖から転落して亡くなった。
同じ愛好者として「ご冥福をお祈りいたします。」
事故は他人事ではなく「明日は我が身」と肝に銘じます。

今は、津波のリスクがあるからなおさらです。
 ヒスイ拾いは、動画などもさかんになり「過熱中」。
無理をせず「ほどほど」にいきましょう!


以下は時系列記事↓ 下に行くほど新しい記事です。


2023年8月20日
酷暑の海岸

 今年の糸魚川の夏は異常だ。まさしく酷暑。
道端の雑草が枯れて、キャンプ場の芝も茶色。
とにかく「暑くて死んでしまいそう」が一番合う表現。
これはフェーン現象がもたらしたもので、全国的なニュースになっても良いと思うのだが・・。
浜には釣り人はおらず、ハンターだけはちらほらという状態。
ヒスイ拾いは1.5時間の2セットが限界でした。

 とにかくここは、NHKの「ドキュメント72時間」が放送されてから、人気沸騰している現場だよ。
ガソリン高の最中に「ヒスイ枯れ」は身に染みるよね。
それでも、「いろいろな石ころとの出会い」があるからやめられない。
石ころはヒスイだけじゃぁないのだよね。


レインボーキツネ石 (ロディン岩)

 拾い上げてみると、
うわっ、派手な色の石だよ!
黄緑色っぽいロディン緑と青系のラインが混ざっている。
キツネ系だなっ! こんな石ころこそ今日のお宝さ!
と、捨てずにポーチの中に放り込んだ。
その日は、同行友人と会うたびに「これ見て!きれいでしょ。レインボーキツネ石」と笑いをとった。
 家に帰りこの石をルーペで見ると、表面にキラキラがいっぱい!さらに石の形もヒスイ型。比重は3.28。
「なぬっ!お主、ヒスイ姫かぁ?」
ロディン濃厚だけど、ヒスイが少し混じっているかも・・
だから怪しい石たちはおもしろい。


ヒスイ鑑定の温度差・ひすい輝石岩

 「怪しい石たち」はいつもマニアの世界でありがちな、判断基準の温度差の中にある。
ある人は「ヒスイは宝石質のもの、こんなのただの石ころ!」と「言葉狩り」のごとく唾を吐き捨てるように言う。
ある人は「これはヒスイっぽいね。うん、ヒスイだよ」と言う。
いわゆる「ヒスイ鑑定の温度差」だ。
 FMM(フォッサマグナミュージアム)で鑑定してもらうと。鑑定は「ひすい輝石岩」。説明に「ひすい輝石が混ざっている岩石」となっている。私はこの鑑定をいつも「ナイス鑑定!」とすばらしく感じている。
 FMMは科学と市民、観光がリンクする所だから観光大使的な役目も担っていると思うからだ。
きれいでなくても、その石に少しでもヒスイ輝石が含まれているようだったら、そう鑑定するのは大賛成!。
遠くからヒスイ拾いにやってきた私たち観光客は、低質のヒスイであっても、「これヒスイ輝石岩です。よかったですね!」と、言われれば嬉しいですよ。決して「ウソではない」のですから。
FMMは全国的に見ても稀な、市民と観光をリンクした優秀な博物館です。
 今、科学の現場は「専門家だけがわかっていればいい」という時代は過ぎ、「市民に分かりやすく伝える」「市民社会とリンクする」「裾野を広げる」が重要になっている。雑誌「ニュートン」や、あのJAXAの衛星打ち上げライブをみれば一目瞭然です。


これ、石英斑岩かいな?

 「ヒスイなんてどこにもないぜっ!」とばかり
拾い上げたのは、少し大きめの変成のかかった石英斑岩のような石。
くすんだ白・くすんだ白緑・灰色で構成されている石模様。
手触りも、角ばりも、ヒスイと似ているが、「またあの石英斑岩だよ」と・・
何度も海に戻そうとしたシロモノだったけど、一度家に持ち帰った。
この石、比重を計ったらなんと3.43
うわぁ!ヒスイの可能性大でないですかぁ!
左がその怪しい石(比重3.43)、右が石英班岩(比重2.58)
ほんと似てるよね。現場では判別できないよ!


薄っすらラベ・青系は比重が低い

 よく「比重を測れ!」というけれど、実際計ってみたら、明らかに「ひすい輝石岩」であるのに、2.9とから3.0くらいのものある。
それもそうだよね。その石のヒスイ混合率が低ければ比重だって低くなる。
特に薄っすらラベ・青?が入り、穴の多い風化しているような石はその傾向が強いよ。 最近、ラベでも「妖精ヒスイ」と名付けられたものがあって、それとは違うやつ。
画像の石は比重3.0

 


ロディンの比重

 比重を計ると、ロディンと思われる石はしっかり3.1以上が多いよ。
だけど、その中のきれいな緑が多いものは比重が軽くなる傾向があるようだ。
 画像の石は、ロディンと思われる石の中に、緑色の輝石のようなものがが見事に入って浮き出ている。比重は3.18。
この輝石はロディンよりも硬いので、ロディンの中で浮きだしたもよう。
調べてみるとこの緑色の輝石は「透輝石」の一つらしい。
 でもほんとに透輝石なのか?正体を知りたい。怪しい石の一つでした。

追記
WEBページで同じようなものを見つけた↓
角閃石類の本の表紙
透輝石は角閃石のグループらしい。


黒ヒスイ

 真っ黒で碁石のような「怪しい石」がある。
私は「黒ヒスイ」と個人的に思っているものだ。
FMMで黒ヒスイとしての同様な石の展示がないので、本当にヒスイ輝石岩なのか?と、けっこう調べている。
・比重は約3.05。キラキラ結晶は見えない。
・真っ黒と言っても緑系の黒。
・宮崎海岸のヒスイテラスで手に入る「ヒスイ海岸のいしころたち」というパンフレットには、同様な石が「黒ヒスイ」として掲載されている。
・ネットでは同じようなものが黒ヒスイとして挙げられている。
・明らかに泥岩ではない。
・石の形、手触りがヒスイ。
・蛇紋岩の黒の可能性もあるが、比重が重く、磁石に付かないし、蛇紋もない。
・蛇紋岩は比重が軽いが、黒系統の「かんらん岩」に近いもの?は、実計測したところ比重が3以上あるものがある。
・オンファス輝石のひとつか?
怪しい石たちの考察でした。


ヒスイの先端はけっこう丸い。

 ヒスイは硬くて「角ばっている」という特徴があるけれど、角ばっていてもその先端はけっこうまるまっていねよるよ。
特に「ろうかん」といわれるものは、その傾向が強いと思う。
画像のヒスイの比重は3.26。  

 

 

 

 

   

   


オンファス輝石の割れ方には特徴があるとみた

 ヒスイと言われる石の中でも「オンファス輝石」と思われる石は同じような割れ方をしているものがある。
それは、みかんの房形で背中が丸い。
画像の石はオンファス輝石と思われる石で、すべて、形がこのとおり。
 ようするに、同じ物質でできているから、割れ方の素性や波の中での削られ方が同じと推測している。

 

 

 


比重3.1の石ころ。蛇紋岩?

 蛇紋岩は磁石にくっつき、比重が低く2.6程度といわれる。
実際に磁石につき、いろいろな蛇紋岩の比重を実際に計ると低い。
磁石は黒い斑の部分につくようだ。
 しかし、比重の重い蛇紋岩?があった。
見た目は全体的に黒で(画像は明るく写っている)、表面はヒスイのようなキラキラ結晶があって、蛇紋がある。
比重は3.11。
どう見ても蛇紋岩なのに・・。不思議な石ころでした。

追記
最近新たに蛇紋岩の比重を調べたところ2.8〜3.1の記載があった。
この石ころは蛇紋岩で決まりですね。


コランダムみたいな石ころ

 ヒスイが拾えないから、テキトーに怪しい石を拾っていると。やけに重く感じる石があった。
わりあい大きな石ころだったからそう感じるのだと思う。
ただ、表面はざらついていて、ヒスイの手触りはなく、ヒスイではない。
(画像の石は表面を少し磨いた後のもの)
重さとゴツゴツ感からコランダム?と思ったのだけれど、比重は3.15。
 コランダムは比重4.0でヒスイより重い。
微妙ですねぇ・・
しかし、この論文の記述からすると↓
新潟県糸魚川地方のコランダムに伴うプライスワーク雲母とストロンチウムに富む雲母
コランダムの可能性も。
青黒い部分がコランダム礫で、それを充填している白黄色の物質が「雲母類」かもしれない。
この石ころには、これらの物質が混ざっているので、比重が軽くなったとも言えそうだ。


10月28日(土) やっぱりヒスイ枯れ状態。

 ガソリン高の中、値下がり隙間期間になったので「怪しい石ころたち」を拾いに行ってきた。
中東情勢次第では、今後ガソリン価格はさらに値上がりの可能性を秘めているらしい。
行ける時に行っておこうという算段だ。
 現場の状況はオーバーユースによる、ヒスイ枯れ状態が続いていて、ネフライトやキツネ石も、ヒスイではない「あやしい石ころ」たちでさえも少なかった。

 最近、人気の「ある海岸」は、凄いことになっていて、朝一のまだ暗い時間なのに、複数のハンターがすでに浜辺で待機している状態。この海岸は最近工事が終わり、じゃり浜が長くなって、狭かったフィールドが広くなったので混雑緩和になるかも知れない。だけど他人と競い合いになるフィールドはなんかいやですね。

 ハンターを観察していると、最近「定点観察型」が目立つようになった。特に女性。
波で入れ替わる砂利をずっと定位置に留まり観察している。
浜を歩き回っても拾えない状況下では、この戦法も「あり」なのだろう。
おそらくこの方法で「戦果」があったからだろうから参考になる。

 こんな状況でも、また行きたくなるのが糸魚川。次は冬場? 昨年の冬は海が荒れすぎて逆に砂浜となってしまい散々だった。それでも豪雪地帯を走り抜けてまで行く価値は?と天秤にかけると・・。
 とにかく石拾いは「運」。「算段」は三の次。その時々の一期一会の「運」次第ですね。


ややこしいぜ!「角閃石」

 角閃石はひすい輝石岩にも、ロディン岩にも含まれ
火成岩の変成作用でも生じ
透閃石岩(ネフライト)もその一つと言う。

勘弁して下せぇ、お代官様!

画像の石は調べてもよくわからない石。
いわゆる「角閃石岩」と言われるものなのか「きつね石の部類」なのかわからない。
比重は3.12。表面にキラキラ結晶なし。

 角閃石のWiki調べをまとめると、
角閃石はケイ酸塩鉱物のグループ名。
ケイ酸塩鉱物は、鉱物学では、シリカ(二酸化ケイ素、SiO2)もケイ酸塩鉱物と見なされる。
よって、「石英」もそのひとつ。

なぬっ!石英も角閃石の仲間やないか!

続けて
地球上では、数十億年間にわたり地殻が形成・再活動をしてきた過程の結果、多種多様なケイ酸塩鉱物が幅広い範囲と組み合わせで形成されてきた。こうした過程には部分融解、結晶化、変成作用、風化、続成作用などが含まれる。

なるほど、だからいろいろな石とコラボするのだね。

 要するに、「閃(ぴかりと光る)石」だから「ガラス質状の鉱物の多くが角閃石」ということだ。
そして「角閃石」は「グループ名」だから、すごく「アバウト」な領域をさす言葉となる。
「火成岩」「堆積岩」「変成岩」と同じような「グループ名」と変わらないわけだ。
ある石の説明で、「角閃石岩」とか「角閃石が混ざっている」という説明は、カッコよく聞こえるけど、 その鉱物の詳細がわからないから、「間違えのない逃げ言葉」として使っているに過ぎないとみた。

 だから「個別岩石名」の中に「角閃石岩」だけ「グループ名」として混ぜ込むのは「混乱を生じさせる原因になる」のでは?と思う。
本来、その角閃石の種類を同定して、個別岩石名として「〜閃石岩」と名付けるべきと思う。
 容易に同定できないものならば、以下の論文の表記↓のように「角閃岩類」でお願いしたいものだ。

2023.11/7追記
 2011年の論文「飛騨外縁帯糸魚川―青海地域の地質と変成作用 ― 日本列島地質体最古の沈み込み帯型変成作用と 上昇期の加水変成作用 ― 松 本 謙 一* 杉 村 和 子** 時 田 い ず み*** 椚 座 圭 太 郎* 丸 山 茂 徳」に、角閃岩(4種)の記述を見つけた。
・角閃岩類:アクチノ閃石+普通角閃石+斜長石の共生で特徴づけられるタイプ。
・ザクロ石角閃岩類:ザクロ石(アルマンディン)+普通角閃の共生を示し,斜 長石を欠くタイプ。
・黒雲母アクチノ閃石岩
・アクチノ閃石岩
色合いから、アクチノ閃石(緑)、黒雲母(黒)、ザクロ石(赤)、斜長石(白)とすれば
画像の岩石は「緑/黒」だから「黒雲母アクチノ閃石岩」かもしれない。

 この論文は「糸魚川石ころファン」に「熟読」オススメ。ヒスイ輝石岩が蛇紋岩体に包まれて一緒に上昇してきたシステムを見出した論文のようです。


ロディンとひすいの混合石?

 画像の石は比重3.37。表面にキラキラ結晶、ツヤあり。
半透明な白、マットな白、透明感のある緑の物質が石英片岩のようなライン層を作っている。
比重からして石英片岩ではないとすれば、ロディン系と推測。
しかし、緑色の物質は、あのロディン緑ではなく、半透明な部分と表面のツルツル具合はひすいを思わせる。
ロディンとひすいの混合石なのか?
怪しい石でした。

 


「白っぽい石を狙え」という「教え」
白色系のあやしい石たちの比重を徹底的に計ってみた

 ひすい拾いのコツとして「白っぽい石を狙え」がある。
白っぽい石は、石英、ロディン岩、曹長岩、「白/灰まだら」のいわゆる曹長岩混合タイプの「ひすい輝石岩」、他、がある。
その中でも「ひすい輝石岩だろう」と思われるものを、長年にわたり拾い集めてきた。

 今回、この「だろう精度」を上げるために、ひすい輝石岩と思われた「白色系」の石の比重を徹底的に計ってみた。
すると、色によるおおまかな傾向が見えてきた。

 計測方法として、まず、「ほぼ白系」と白/灰の「一見、灰色に見える系」の二つのグループに分けて計測した。
石の大きさは小指の幅から親指の幅サイズが多く、最大5p程度のもの。

(曹長岩の特徴は比重2.6程度、キラキラ結晶は大きめで、表面はツルツル。)

計測の結果
画像上2列の「灰色に見える系」は2.72〜3.21(上下交互の順で、右に行くほど比重が高い)
画像下2列の「白系」は2.41〜2.91(上下交互の順で、右に行くほど比重が高い)
まず言えることは、
@白系の石は「曹長岩〜曹長岩/ひすい輝石混合(ひすい混合率が低い)」と思われ、比重が低いものが多い。
A比重は「白系」より「灰色に見える系」のほうが高く、「灰色に見える系」は「曹長岩/ひすい輝石混合(ひすい混合率がやや高い)」と思われる。
B比重が2.6以下のものは「ひすい輝石を含まない曹長岩または石英」だった思われる。(だろう誤認)

そして傾向として、
@真っ白な純度の高いひすい輝石岩は稀で、ほとんど拾うことが出来ない。
Aラベンダー系のヒスイは、確かに白系がほとんどだが、これも稀でほとんど拾うことが出来ない。
B比重が重い、あからさまな「ひすい輝石岩」は「くすみ」のある有色系が多い。薄緑のものはその代表的なもの。

 このことから、「白っぽい石を狙え」という「教え」は、「・・っぽい」が重要で、単なる「白い石を狙え」は、大まかな方向性としては間違ってはいないが、的の中心としては少しずれていると思われる。


金華石

 ヒスイ枯れ海岸では、落胆ではなく楽しみに変えなきゃと思う。
砂丘でトレーニングをする高校野球児のごとく、ヒスイ拾いの砂利浜歩きはけっこう足にくるから、 この頃は、すっかり幼児並みの歩くスピードになった。探す範囲が狭くなったけどこれでOKだ。楽しもう! 「石との出会い」はヒスイだけではない。こそに至福がある。

 画像の茶色い石は普通拾われない石だ。さらにキモイ白斑が入っていているからね。 だから、一度拾い上げたもののすぐに海に捨て戻した。
 そして、もう一度ヒスイはないか、辺りをサーチしていると、またもやこの石が目に入った。 ウーン、もう一度拾いなおして、「まあ、持って帰るか・・」とポーチに入れた。

 家に帰り至福の石ころ鑑定タイム。
この茶色い石もステージに並べられて、一応ルーペで覗くと、キラキラとした金属が無数に入っているではないか。
火山岩系らしいので、この金属は「黄鉄鉱」と思われた。
比重は3.11。
調べてみるとこの石ころは「金華石」と言われる「硫化メノウ」らしい。
キモイ白斑はメノウで、確かにルーペで見るとまさにその模様。

 ヒスイよりも嬉しいこの結末は、ヒスイだけではない「石との出会い」を感じた。
なんか、もう、「あばたもえくほ」的なヒスイ信仰はどうでもよくなった感じだ。


とてもあやしいヒスイ

 画像のものは、以前、左が親不知海岸で拾ったもの、右が宮崎海岸で拾ったもの。
どちらも形が不自然で、カッターで切り落とされた痕跡がぬぐえないもの。加工品の切れ端しを思わせる。
 昨年、友人も親不知海岸であからさまな不自然個体を拾っている。

 もし人為的に撒かれたヒスイがあるとすれば、その動機は「観光客を楽しませるため」と想像する。
 撒かれたものが「糸魚川産」であるなら、許容されるかもしれないが、ミャンマーなどの外来産などの場合は学術的混乱を生じさせる原因となり、また、観光のため外来産を撒くという社会的合意がされていないので問題となるだろう。


黄色いヒスイはあるの?

 「よくわかる・フォッサマグナとヒスイ・フォッサマグナミュージアム」には黄色いヒスイもあることが記されている。
糸魚川には黄色いヒスイもあるようだ。しかし、FMMの展示にもなかったようで?話題に上がらないのはなぜだろう?
 画像の個体は少し緑がかったくすんだ白黄色の石で、比重は3.21。
角ばり、手触りはヒスイで、結晶は観察できない。
ロディン系、または、ヒスイ輝石が混ざっている「ひすい輝石岩」かもしれないが、外国産の「黄色ヒスイ」とは別物。


角閃岩類??

 海岸で頻繁に見つかる「ヒスイ?」と悩む変成岩がある。
画像の石がそうで、一見「片岩系」に見える。
黒/白まだらで、白の部分がヒスイっぽい。比重は3.4。
しかし、海岸放置の頻繁性から「ヒスイではない」と思うのだが、いつも持ち帰ってしまうものだ。

 図鑑などで見る一番近い姿としては「黒色片岩(泥質片岩)」だが、その比重は2.6〜2.9程度と言われるから違うようだ。また、より重い緑色片岩は(比重3.01-3.12)なのでこれも違いそう。
 比重3.4は重すぎる。これも「角閃岩類」のように思うのだが・・。

 


オンファス輝石 て何?

 オンファス輝石はヒスイの中に入っている緑や青の部分という事は、各解説本で承知しているところだ。
 しかし、最近、緑色岩みたいな「オンファス輝石」が話題となっている。
画像の石ころはこのオンファと思われるものだけど、ヒスイに含まれる透明感のあるものとずいぶん違うと思うのは私だけだろうか?左の4つの比重は2.98〜3.22
 オンファもひすい輝石と同じように、「透明感があるものからくすんだものまである」ということか?
右の画像の石は比重3.20。良く見ると表面に半透明のオンファらしき鉱物が見える。
ようするに、不透明オンファの中に透明質オンファが混ざることがあるようだ。
 

 ちなみに、オンファス輝石とひすい輝石には結晶の見え方に違いがあるようだ。
ヒスイ輝石は、とても薄い長方形の結晶が表面に貼り付いている。
オンファス輝石の結晶は、微細〜見えない。


石の密度(比重)の計測・計測水温との関係

 糸魚川の石ころファンはヒスイは重い石で、比重が3.2〜3.4であることは良く知られている。
 比重の計測は「めんどくさ」と思われるけど、道具さえ揃えば思ったより簡単だ。
この計測ができれば「目視」だけの判断基準からレベルアップできるので「この石、何?」と思う人は、お勧めしたい。

 計り方は、いろいろなブログで紹介がされているので参考にしてほしい。
比重を計測して良かったことは、「今までヒスイと思い込んでいたものが、石英だったり」、 自分の「いい加減さ、思い込み」を知ったことだ。これを経験すると、簡単に「これはヒスイ」と思わなくなる。

 この比重の計り方については、付け加えたいことがある。
水の中に石を吊る時に、石の固定方法として糸で十字に縛るが、これは重い石の場合だ。
軽い石の場合ぱ糸と石の結合に「セロテープ」を使えば簡単 !

 次に、なぜ水中に浮いている石の重さに質量が出るのか?という疑問。
これは水の中に入った石の「体積に対応した水の重さ」を計っているだけのこと。
 言い換えれば、水かさが増えた分の「水の重さ」を計測しているということ。
 さらに言い換えれば、うつわすれすれに入っている水がある。その中に石を入れれば、その分、水がうつわからこぼれ出る。この「こぼれ出た水を集めて」重さを計ったものということ。
 だから同じ大きさの石なら、重かろうか軽かろうが(水に沈む石なら)、水中の重さの値には関係がない。
関係があるのはその石の大きさ(体積)。
要するに「比重とは」その石(立体物)が「水という物質で出来ていた場合の重さ」と本当の重さとの比較値だ。

 それならと、ここで疑問となるのは、計測する時の水の温度だ。水は温度によって膨張するから、水温によって計測値が違ってきて、その比重だって変わらないのか?というもの。
 (調べてみたら4℃の水1000mlを80℃にすると1029mlになり、2.9%増加となるとのこと)

 そこで、実際に調べてみた。
21.09gの石ころを温度の違う水の中に入れてみた。
・氷を溶かした冷たい水の時の水中計量は 7.18g → 比重は 2.9373
・80℃に近い水の中での計量は 6.85g(理論値≒6.97g) → 比重は 3.0788
(水温により数値が違うことを確認する実験なので、数値誤差はご容赦)
 比重は計る水温で違ってくるが、極端な温度差の場合でこの数値だから、通常水温が15℃前後であれば、その温度変異差はこれよりも少なく問題とならない、ということだろう。

 まとめると、「一般的な比重の測定」は水温により差が出るが、問題とならない範囲。

追記
 密度の求め方は重さを体積で割ったもの。
石ころの重さは「計り」で調べることが出来るけど、体積は簡単には計れない。
よって、本来、その石の密度を求める場合、アナログ的にはその石を「体積が調べられる四角柱にカット」する方法と思われる。
 しかし、天然石ころは不定形なのでそうはいかない。
だから、その体積を「水」のもつ(1cm3≒1g)という性質をを用いて、簡易的に算出するという手段を用いている。
さらに精度を上げるなら、水温ごとの密度から膨張率を計算して、それを計測値に掛けて補正するしかない。

参考:「建築学生が学ぶ構造力学」


圧砕ネフライト?

 ご存じのとおり、ヒスイの砕かれた礫が、礫岩的に再凝固したものを「圧砕ヒスイ」というのは知っていると思う。
 画像の石(比重3.03)は緑色の結晶がゴツゴツと内臓されている石で、「この輝石粒」は何なんだろうと不思議に眺めていた。
 この輝石状の粒は実体顕微鏡で観察すると、ネフライトとしか思えなかった。
粒を充填している物質も黒いながら「透閃石岩」の結晶模様が少し見えて・・
結論として「圧砕ネフライト」があっても「ええやないか」ということでした。

   


透閃石岩とロディンの競演?

 画像の石ころは比重3.13。
表面がツルツルで、きれいな閃石が透閃石岩の母岩に付いているといった感じ。 (母岩の結晶は透閃石岩にしか見えない)
でも透閃石岩の玉は「ネフライト」でしょ。なのにこの緑色の閃石は違う。
 良く見るとロディン白が表面にあり、すこしゴヅゴツしているので、この緑色はやはり「透輝石」とみた。

 ロディン岩と透閃石岩は同じ場所にいるのだろうか?
透閃石岩の閃石類とロディン岩に含まれる透輝石は同じ「珪酸塩鉱物」。
 石ころは化学式とにらめっこの、分類枝を理解しなくてはならないようだ。
石ころ用語は「個別名」「グループ名」が幾重にも重なっていて、表現がどこの位置をさしているのか一般にはわからない。
これこそ「業界用語」で、「わかるものだけがわかれば良い」世界のようだ。
参考:「文部科学省」
参考:「鉱物の系統分類」
 


2023年12月、冬の海岸で

 冬場、海が荒れる前に・・と、訪れた糸魚川の海岸は、思っていた通り「冬の砂浜化」が進んでいました。
気象状態、波の高さも、良い日を狙うのですがそれでも「自然」相手ですから油断禁物です。
適度の波は、凪の時よりは石の入れ替えが起こり、拾えるチャンスは増えると思うのですが、サーチは波の入れ替時の一瞬で、 凪の時のじっくりサーチと比べて、どっちが良いのかはわかりません。
だから、波のある時は「石の入れ替えがあってラッキー」、凪の時は「じっくり探せてラッキー」と、ポジティブに行こうと思っています。

 とにかく石拾いは時と場の「運」なので、「拾えないことを前提とした心の余裕」が必要ですね。
と、思うのですが、やはり遠方者の私は「せっかく苦労して来たのだから・・」のエネルギーが強くて、「拾えないと」次から次へと、くたくたになるまで浜を「ハシゴ」してしまいます。これは帰る時の「無惨感」を払拭するためにです。(笑)
 「集中力」や「突進力」は必要だけど、限度を超えると自分が「粘着」「キモイ」となる。それを感じたらここが「引き」です。
 また、この粘着メンタルは良くなくて、登山で言うなら、「遭難予備軍」だなぁと反省。そのうち、波にさらわれそう・・。
とにかく、何事も「・・し過ぎ」は良くないということです。

 まあとにかく特賞の「姫」は「奇跡」、その次の「大黒」「菩薩」級はまず無理としても、 「えくぼがかわいい娘」さんは一つでも拾いたいと思う。
 そんな心のデフォルトでいても、「灰色のガンダルフ」(ひすい輝岩×曹長岩)や、影武者の「黒沢君」(緑色岩ふうオンファス輝石岩)なども拾えず、「ネフ君」「ロディン君」の笑顔も見られない場合は、国道沿いのラーメンショップで「背脂たっぷりのスープまで飲み干す」というわけです。  


キツネ石に晶出しているキラキラ金属は?

 以前、ハート型の変わった石を拾い上げた。(最大幅約2.5センチ・比重2.62)
その姿は割れたばかりの様相で、灰色の生岩に緑色の閃石と白色の脈が入っていた。
この緑色がなんとなく「コスモ君?」を思わせるもので、この石はエッケルマン閃石かもしれないと思っていた。
気になって、ルーペで覗くと石の表面にとても細かい、金色のキラキラ金属がたくさん付着していた。
この金属光は太陽光に反射させればわかるが、ふつう光ではわからず、10倍のルーペでわかる微細なもの。

 今回、苦肉にも「えくぼ娘」の身代りに持ち帰った「キツネ石・最大幅約6.0センチ・比重2.76」をルーペで観察していると、なんと、このキラキラ金属が 表面の微細な凹にたくさんあるではないですか。
 このことから、このハート型の割れた石の正体は「キツネ石」としたいのですが、でも様子が違う。
ハート型の緑がとても濃いのですよ。 しかしです、このキラキラ金属は何?
「よくわかる・フォッサマグナとヒスイ・フォッサマグナミュージアム」にはヒスイに「銅」の晶出もあるとの記載から、銅の可能性もあるけど、この金属は「赤く」はない、よく観察するとほとんど「金色」で「銀色」が混ざっている。
 これらのキツネ石の比重から、石英系と思われることから、何かしらの金属の晶出があるのだと思いました。

 


青色系のあやしい石ころ

 青色が入っている、よくわからない石ころがある。手触りツルツル、角ばり、模様はひすい輝石岩だ。
個人的には「質の悪いヒスイ輝石岩」と思っているのだが、比重値が低い。
(左が最大幅約6cm・比重2.83)(右が最大幅約4cm・比重2.78)、(下段の2個が最大幅約2cm・比重2.72と2.60)
左の石は拾った時は全体がもっと鮮明な青色だったが、家に持ち帰り時が過ぎると青色は目立たなくなってしまった。
 この時間経過による「色変わり」は「ヒスイ輝石岩」でも見られるようで、拾った時はくすんだ色なのに、時が経ち見て見ると、緑色がはっきりと浮かび上がっていることがある。
 この青色の石は、「青ネフライト」ではないことは確か。
なんなんだろう?
下段の小石は小さすぎて、判断が難しい大きさ。